湯治と風呂漫画

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)

恋の悩みにはダメらしいが、湯治*1は万病に効く。心も体も癒してくれる。これだけは確信を持って言えるのだ。実は、体をぶっ壊してしまい、なかばヤケクソになって草津で二ヶ月を過ごしたときのことだ。大学病院の医者がさじを投げた古傷が本当に治ってしまった…。完治こそしなかったが、今ではさほど不自由なく生活が出来ている。まさに風呂、万歳! そんな神秘の力を持った温泉、銭湯、そして日本の誇るべき風呂文化の素晴らしさを再認識させてくれる本が「テルマエ・ロマエ」である。

この本の素晴らしいところは、老若男女、歴史好きもそうでない人も、分け隔て無く笑いが止まらなくなるところだ。*2 風呂は偉大だ。風呂は素晴らしい。ゆっくりと風呂に入ればみんなが朗らかになる。笑顔になる。
でも、風呂に入る暇がないほど忙しい人もいるだろう。夜を徹して、働かなければならないときもあるだろう。そんなときは、10分だけでも構わない、是非この本を読んで頂きたい。笑って頂きたい。そして、風呂に入らずして働かなければならないほどの仕事なのか、を冷静に考えてみてほしい。*3

昔、ある教授が教えてくれた言葉だが、人は本来「仕事のために生きる」のではなく、「生きるために仕事をする」のだ、と。
生きるためには、まず食事をする、寝る、風呂に入る。
その次に、遊ぶ。
その次には、学ぶ。
そして、最後の最後に働くのだ、と。

研究者にならんとする人は、どうしても研究するために生きてしまいがちだが、風呂に入ってほっとするひとときを大切にすると良いかもしれない。

人生に行き詰まったとき、裏切られたとき、大失敗をやらかしてどうしようもなくなったとき、果ては死すらをも決意したとき、そんなときは、どうか古くからある温泉を訪ねてみて欲しい。そこにはきっとあなたを救ってくれるものがある。あなたを癒してくれるものがある。

そんなことを教えてくれる本が「テルマエ・ロマエ」なんである。
涙を流したくなるほど忙しいあなた、寝る暇もないあなた、そんなあなたにこそ、この本を読んで欲しい。


風邪を引き、徹夜仕事をしつつ、一週間風呂に入れない hmino が記す。

*1:cf. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E6%B2%BB

*2: cf. 極東ブログ [書評]テルマエ・ロマエ Ⅰ(ヤマザキマリ) http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/03/post-d178.html

*3:もちろん、火急の仕事は確かにあるし、夜を徹して働くべき時もある。そして、風呂に入らない人生を選ぶことの愚かしさを知りつつ、がむしゃらに働く人も素敵だな、と僕は思う。

総員玉砕せよ!

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

分子生物学のラボはよく言って体育会系、悪く言えば軍隊*1に似ている。

僕が家族同然に付き合っている親友の祖父は、ミャンマー戦線の生き残り*2だった。その方は、僕が知るもっとも愉快で聡明で茶目っ気のある人物であり、常にキラキラとした悪戯小僧のような目をしていた。

ある日のこと、僕は中国戦線で戦った落語家の戦記*3を読み、それがあまりに面白かったので、ミャンマー戦線についてその友人の祖父に尋ねてみた。すると彼の目は瞬く間に輝きを失い、漆黒の洞穴のように変じた。黙り込み、なにも語ることはなかった。

それから月日が過ぎ、僕はいわば除隊し、その方は故人となった。

そして、「総員玉砕せよ!」を読み、友人の祖父の沈黙の意味を知った。
「死すべき人間が生きている。」 その背には、死んでいった戦友の亡骸が積み重なっている。

特殊な体験を語ることは難しい。語り手が、背負ったものの重みに耐えかねて、心が砕けそうになるのかもしれない。そもそも、語っても伝えることがなどかなわないことなのかもしれない。前向きではない話は聞く価値がない、と言われることもある。

語るべきか、語らざるべきか。語るのならば、如何に語るべきか。

その答えを水木しげる氏は示した気がする。

*1:誤解を避けるために補足すると、一般に軍隊が悪いところだ、と言うのではない。軍隊組織の持つ良い側面と悪い側面を共有しているように思える、との意。

*2:陸士卒の将校

*3:与太郎戦記 (ちくま文庫)

pwrake メモ

計算処理を行う場合、SGEやGXPなどのお世話になることも多いと思います。しかし、ちょっと手の込んだワークフローを流そうとすると、rakeではなくmakeファイルを書かなくてはいけない、というのが newbie Rubyist の僕にとっては悲しいことです。*1
しかし、うれしいことにrakeに対応した並列処理用ソフトが開発されています。

pwrake
http://github.com/masa16/pwrake

以後、チュートリアルなどを書く予定です。

cf.
http://portal.acm.org/citation.cfm?id=1851476.1851529
http://datafarm.apgrid.org/event/gfarm10/slide/GW10-Handson-2-1-Pwrake.pdf

*1:makeが使いこなせないだけ、とも言う…。

脳内PCR実験のすすめ

私は最初に分子生物学の教育を受けてきたので、分子生物学の実験のエッセンスをどう情報科学者に伝えるかに強い関心を持っています。

分子生物学情報科学の間には、おおきな文化の溝があります。困難は乗り越えるためにある、と信じて進むほかありませんが、その融合領域で学ぶ情報科学出身の方のために、簡単な実験科学についての案内が出来ないものか、と首を捻ってきました。

もちろん、一番良いのは実際に簡単な実験計画を立てて懸命に試行錯誤しながら実験を行うことなのですが、そんな時間もお金もないのが実情です。

そこで情報科学者にとって分かりやすく、論文でも頻出するPCR実験を脳内で模擬実行するのが良いのではないかと思っています。

カリキュラムは以下の通りです。

  1. Sanger法とPCR法の意義を知る。
  2. DNA、RNAの構造式を40回ずつ書く。
  3. DNA塩基対、RNA塩基対の会合図を40回ずつ書く。
  4. 10merのDNA鎖、RNA鎖を5回ずつ書く。
  5. ddNTPの構造式を40回ずつ書く。
  6. ddNTPを終端に持つ10merのDNA鎖を5回書く。
  7. PCRの各ステップの意味を知る。
  8. 200merの鋳型dsDNAに対して、150merの領域を増幅するprimerを設計する。
  9. 200merの鋳型dsDNAが1本だけある初期状態から、上記プライマーを用いたPCR反応を行う実験を想定し、各ステップにおいてDNA分子の状態(分子数、長さ)を正確に記述する。(5 cycle分)
  10. PCR実験が失敗する要因を知る。
  11. 部分的に失敗するPCRの各ステップを正確に記述する。(5 cycle分)

実際にやり抜いてもらったときの効果はなかなかのものでした。
しかし、経験上、情報科学出身者でこのカリキュラムを実際にやる人はほとんどいないでしょう。もし、やり通した人がいたら、感想を頂けるとありがたいです。
情報科学出身者側からの分子生物学出身者へのおすすめのカリキュラムがありましたら、是非お教え下さい。

meeboなどチャットソフトのメモ

便利で昔から使っているwebアプリmeeboについて、あまり日本語の記事がないので書いてみます。
meebo http://www.meebo.com/ は、MSNメッセンジャー、Gtalk、Yahoo! MessengerICQと言った複数のインスタントメッセンジャー(IM)ソフト*1に対応したAJAXベースのWebアプリです。
Webアプリだというのが最大の利点で、常駐してメモリを食ったり、作業中にポップアップで気が散らされることがありません。*2 また、複数のIMソフトに同時にログインすることできるうえ、チャットログがmeeboのサーバーに残るため、ログの管理が容易です。注意点としては、IMアカウントのパスワードを預けるタイプのWebアプリですので、meebo用の各IMアカウントを新規に作る方が、セキュリティ上良いかもしれません。

似たようなWebアプリが他にもあるようですが、比較的軽量であるため気に入っています。*3

勉強会をWeb上で行う場合、複数人でチャットの出来るスカイプmeebomeebo roomという機能が便利ですが、sign upが必要になるなど煩雑です。*4
こんな時におすすめなのが匿名で使えるAjaxベースのWebチャットです。かつては、Lingr http://lingr.com *5 が有名でしたが、個人的には Lingrのクローンぽい日本語の使えるサイト http://www.cometeo.com/ がおすすめです。*6

*1:Skype以外はおおむね対応しているようです

*2:Firefoxの場合、ブラウザにAdd-onを導入することでポップアップも可能になります。

*3:Firefox3.6.xでは、最近になってJavascriptエラーが起きることがあるのでやや困っています。

*4:アカウントを知られたくないという微妙なケースもあるかもしれません

*5:COMETという技術がコアでした

*6:秘匿性はないので、ご注意下さい

Rubyのワンライナーメモ

基本は -e オプションで、スクリプトを渡す。

ruby -e 'p RUBY_VERSION'

次いで、-nオプションを付けることにより、以下のような挙動となって、入力行を読み込む。

 while gets()
  $_=$_.chomp
  <指定したスクリプト文>
end

-e オプションは最後に来ることに注意。切り離した方が最初は分かりやすい?
読み込んだ行は、グローバル変数「$_」で参照出来る。

さらに、 -a オプションで、

while gets()
  $_=$_.chomp
  $F = $_.split
  <指定したスクリプト文>
end

となる。
-a オプションは -n や -p とともに用いて始めて有効。

以後、説明の追加予定

  • -p : -nと同じループ内で実行を行い、自動的に「$_」を出力する。
  • -i[extension] : 引数で指定されたファイルの内容を置き換える(in-place edit)ことを指定します。元のファイルは拡張子をつけた形で保存されます。拡張子がなければ、バックアップは行われず、変更されたファイルだけが残ります。


以下、参考、引用記事のリンク